波濤合同歌集「うなばら」
        名古屋支部著

「波濤」名古屋支部44人の歌集である。

 朝熊山の麓の分校に唯1人授業に行きてオルガンを弾く
東 英子
 風通ふ海へ続くみち白き露草ゆれてゐる径
大沢美知子
 忌の明けていよいよ夫は遠くなりことしのつつじくれないふかし
鈴木弥栄子
 同情も非難の声もうちに秘め早春の渚にさくら貝ひろふ
吉田よき子
 乗客はわれ一人のみ『こきりこ』の唄流れくるバスに揺らるる
岡本昭夫
あとがきに「歌の特徴としては『形成』の主宰者であった木俣修のヒューマニズム短歌を基調とし、『波濤』の生みの親でもある大西民子の、そこはかとなくロマンの漂う現代短歌をめざしている」とある。

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